マルチモードファイバーで高速な伝送を実現するために、複数の芯数を必要とする伝送方式に対応するトランシーバーは多心の接続が可能なMPOコネクタを使用します。
40G/100G SR4は8芯を必要としますが、12芯の接続な可能なMPO-12を使い真ん中の4芯を使わない構成です。
現在では使われることがありませんが10芯のファイバーを必要とする100G SR10は、12芯二列の24芯対応のコネクタを使用しそのうち20芯を使っていました。
400G BASE SR16は32芯が必要になり、16芯二列の32芯対応のMPOコネクタとなりますが。実質使われることなく終わりそうです。
それでは、16芯必要な400G SR8はどうするのでしょう。
実は、OFC2019が開かれた2019年3月の段階では。MPO-16とMPO-24(2x12)両方の(MDI)製品が存在します。
ARISTAの400Gトランシーバーのラインナップを見ると、OSFPパッケージでSR8が用意されていますがその場合のコネクタはMPO-16です。QSFP-DD MSAは両方定義がありますがOSFP MSAにはMPO-16しか定義が無いからでしょう。
https://www.arista.com/assets/data/pdf/Datasheets/Arista-400G_Optics_FAQ.pdf
弊社(wavesplitter)で用意するSR8トランシーバーはQSFP-DD MPO-24(2x12)です。同じSR8なので伝送方式としては互換性がありますが、混在した場合は接続するコネクターが片側MPO-16反対側がMPO-24のケーブルが必要になります。
他社のQSFP-DDパッケージの400G SR8ではMPO-16の製品も存在します。二種類用意している所もあります。


各社の400G SR8トランシーバー
|
パッケージ | PN | コネクター |
---|---|---|---|
WaveSplitter | QSFP-DD | WS-QD4-SR8-C | MPO-24 |
ARISTA | OSFP | OSFP-400G-SR8 | MPO-16 |
cisco | QSFP-DD | 2020/11時点でSR8無し | |
Juniper | QSFP-DD | 2020/11時点でSR8無し | |
HUAWEI | QSFP-DD | ||
Finisar | QSFP-DD |
FTCD8613E1PCM |
MPO-16 |
MPO 16(TIA-604-18)はKEYの位置がオフセットしておりSR4などで使用するMPO-JJなどは使用できません。
MPO 24(TIA-604-5)
ケーブルのピンアサイン
24芯は上下二列になったことで、トランシーバー同士を直接接続するクロスケーブルの配線が二種類考えられます。一つは、key UP-UPでそのままストレートに配線し上下は入れ替わらないものの左右だけクロスする配線(type-B-2-1)。もう一つはコネクターを180度回転させて上下左右入れ替わるもの(type-B-2-2)です。上下だけ入れ替える(type-A-2-2)
400G SR8のピンアサインのTX/RXの対応がきれいに取れるのは上下は入れ替わらないタイプですが、100G SR10では使用できずまたパッチパネル経由の接続で使用されるMPO-JJ(type A)による回転することからも整合性が良くありません。Multi laneのシステムにはAM(Align Marker)により各レーンに送信時に付けられた lane番号に受信側が追従する仕様ですので、1番送信が5番受信に接続されても問題はありません。
しかし、どちらを推奨すべきは2019年5月時点では判断ができない状況です。QSFP-DD MSAのdocumentはMPO-12x2の項に「Note:The MPO 12,2 row optical MDI is used for breakout applications and is not intended for structured cabling applications」とあるし。
MPO-JJが偶数個使われるのであれば相殺されますのでクロスの方式が異なっても問題ありません。
TRX-メス(左右)メス-MPO-JJ(左右上下)-オス(左右)オス-MPO-JJ(左右上下)-メス(左右)メス-TRX
混乱するのは、TIA-568.3-Dで定義されている12芯と24芯の定義に一貫性がないこと。AとかBは一段下の分類名なのでAとAを同等と考える方が間違いなのでしょうが混乱の元です。MPO JJアダプタのtype Aは左右上下入れ替わりタイプ。
TIA-568.3-D | pin | 対応アプリケーション |
---|---|---|
12芯 A | 1-1 | |
24芯 A | 1-13 | 100G SR10 |
12芯 B | 1-12 | 100G SR4 |
24芯 B | 1-24 | 400G SR8,100G SR10(lane未整合) |
24芯 未定義 | 1-12 | 400G SR8 |
Links
http://www.qsfp-dd.com/wp-content/uploads/2018/09/QSFP-DD-Hardware-rev4p0-9-12-18-clean
https://www.sylex.sk/is-the-24-fibre-connectivity-method-really-clear/
https://www.fs.com/file/white_paper/understanding-fiber-polarity.pdf
100G SR10用ケーブルの流用
100G SR10も24芯MPOですが、使う芯のアサインが両端を使わない仕様ですので。SR10用のケーブルが20芯しか配線されていないのであれば流用はできません。光ファイバーの製品ラインナップで20芯の製品は少なく、普通は24芯なのでSR10用であっても24芯配線であることが多いと思われます。
SR10は上下で送信と受信が分かれたアサインですので上下反転したケーブルです。左右反転なし上下だけ反転のケーブル(TIA MPO-24 type A)の場合はSR8では利用できません。
ブレイクアウト対応
400G SR8をブレイクアウトして、100G-SRに。SR8側のコネクタでの芯の割り当てを分岐しやすいものにしたい。考えられるのは。
1)SFP56 x 8 : 50G x 8
2)QSFP28 x 4 : 100G x 4しかし50Gを25Gに変換するgear boxがトランシーバーに必要になる。200Gに減速して100G x 2が現実的。
3)QSFP56 x 2: 200G x 2
4)50G QSFP28 x 8
IEEE 802.3cm
400G SR8はIEEE 802.3cmでも検討されています。802.3cmではMPO-12による8芯対応のSR4.2と並行して、SR8も検討されており。2018年5月の段階では両方式併記されています。2019年末に作業がまとまる予定です。
http://grouper.ieee.org/groups//802/3/cm/public/May18/swanson_3cm_01_0518.pdf
MPO-24の呼称
MPO 12 2 row、つまり12芯二列と表記しているドキュメントも見られる。
Links
ciscoトランシーバーラインナップ