光ファイバーにはマルチモードとシングルモードがあります。一番の違いは主に使用するレーザーの波長が異なる事です。
マルチモードファイバ
マルチモードファイバーでは850nmの比較的安いLEDで発振できる波長を使いファイバーの断面積全体を使用して伝えるために、接合コネクターの精度も低くて済み全体的なコストを抑えることができます。しかしファイバーの中で波形が乱れやすく光の強さに加えて波形の乱れを抑え込まないと通信に使えません。この特性を帯域で表します。
よって、マルチモードファイバでは減衰と帯域の2つの要素を確認する必要があります。
TIA/EIA | 帯域(850nm時) | コア径 |
10GBAS-SR での距離 |
40GBSE-SR4 |
FDDI grade | 160MHz/km | 62.5μ | 26m | |
OM1 | 200Mhz/km | 62.5μ | 33m | |
OM2 | 500Mhz/km | 50.0μ | 82m | |
OM3(LOMMF) | 1500MHz/km | 50.0μ | 300m | 100m |
OM4(LOMMF) | 3500MHz/km | 50.0μ | 500m | 150m |
OM5(WBMMF) | 4700MHz/km | 50.0μ |
既設のマルチモードファイバーは帯域が狭いものが多く40G/100Gの領域では使うことは出来ません。OM3もしくはOM4が必要になります。
10Gであれば10GBASE-LRMが使用できる可能性があります。これは波形の乱れを保証するEDC(Electronic Dispersion Compensation)を備え帯域が少ないファイバーでの伝送を目的に設定された仕様です。通常の10GBASE-SRではFDDI gradeで26mのところ最大220mを想定しています。
シングルモードファイバ
シングルモードファイバーは1310nm もしくは1550nmの光ファイバーの最も減衰が少ない狭い波長を使い、ファイバー断面の中心部だけを使う事により波形の乱れを抑えた方式です。
(from cisco systems white paper)
機器側の都合よりも光ファイバーの伝送特性を優先した仕様の為、機器のコストはどうしても高くなります。しかし、基本的には信号の減衰量だけ考えれば良いので長距離に適しています。旧来は通信事業者が扱う分野でしたが40G/100Gではフロア内の配線でも主役でしょう。
現在ではマルチモードでもシングルモード用の高精度コネクターを使うようになりましたのでファイバーのコスト差はあまりありません。しかし、依然としてレーザー発振器には大きな差があります。
シングルモードファイバーにもOS1とOS2の仕様がありますが超長距離でない限りその違いは大きな影響はありません。
距離と減衰
850nm | 1300nm | 1310nm | 1550nm | |
OM1 | 3.5 dB/km | 1.5 dB/km | ||
OM2 | 3.5 dB/km | 1.5 dB/km | ||
OM3 | 3.5 dB/km | 1.5 dB/km | ||
OM4 | 2.5 dB/km | 0.8 dB/km | ||
OS1 ISP | 1.0 dB/km | 1.0 dB/km | ||
OS2 ISP | 0.5 dB/km | 0.5 dB/km | ||
OS2 ISP | 1.0 dB/km | 1.0 dB/km | ||
OS2 OSP | 0.5 dB/km | 0.5 dB/km |