SFPトランシーバーが機器から抜けないトラブルに遭遇した方は多いでしょう。その多くの場合はロック機能を無視して抜こうとして機器側のロックの金具部分を曲げてしまいその後、正常な解除操作をしても解除できなくなる事によるものです。

正常ロック状態

SFP-normal1.jpgsfp-normal2.jpg

正常ロック解除状態

sfp-normal4.jpg

曲がっている状態

sfp-error1.jpgsfp-error2.jpg

sfp-error3.jpgsfp-error4.jpg

酷い場合は手前の部分が垂直に近い角度まで曲がってしまい、かつ凸状に湾曲するために周辺部を押してもロックが解除されなくなります。

今回の撮影の為に実際に曲がるまでロック状態で引き抜きをしましたが、かなりの力が必要です。突起部寸法が少ない光のLCコネクタ対応のSFPでは掴める面積が足りずマイナスドライバー等で隙間を抉らないと無理でした。

一方、RJ45対応の物であれが多少力は必要ですが何も工具なしで曲げることが可能です。

ロック機構を変形するまで行かなくとも奥まで押し込んだ位置でロック機構の解除操作をせず抜く方向に力をかけたまま操作しているのが原因の事も多いです。cageの奥にはバネがあり手前方向に常にテンションが掛かっています。

しかし、そのような操作ミスをしなくても「抜けにくい」例がある事があります。手元にある各種トランシーバーのロック機能を観察してみました。

その結果、様々な機構があり。仕様書上もかなり幅がある表記がされていることを確認することが出来ました。

ロック機構以外の筐体の寸法誤差や歪み要素は検討していません。

1)埋没タイプ

ロックの爪に引っかかる突起が筐体内に引っ込むことによりロックが解除される。機器側の金具が曲がっても問題なく抜ける機構の用に思える。

2)スライドタイプ

爪に引っかかっている板を斜めにカットされた板で押すことにより持ち上げてロックを外す。コネクタ部の奥行きが長くなるRJ-45接続タイプのコネクターを持つSFPに使われる機構。

SLIDE-SIZE.jpgSLIDE-KAKUDO.jpg

手元にある何種類かの実物を見るとサイズに差がある。三角部を幅を計ってみると1.89/2.38/2.42mmと差がある。

スライド部の幅も差がある。最大幅よりは狭い。角度にも差がある。

干渉位置までスライドしても凸状に変形した場合は解除できない。

sfp-error5.jpg

スライド駆動部の摩耗・変形

スライド部分は直接操作するのではなくRJ-45の枠の部分を押し下げる事によりまず、赤線の丸で囲った部分が接触してスライドし初め、押し下げる角度が深くなると青線の丸で囲った部分が接触してスライド部分を押す。そのため、接触部分が摩耗していたり変形していたりすると正しくスライドしない。また、回転軸受けのガタが大きくても接触面の圧力が足りずスライドしない。

この部分はテコの力が働く為、人手の操作でも破損または変形しやすい。その場合は、緑線の円の下の部分に接している突起を何らかの工具で押すことによりスライドさせる。

SLIDE-MAMOU.jpg

3)跳ね上げタイプ

筐体内に埋没している板が跳ね上がりロックを解除する。三角部の両サイドまで跳ね上げの爪が伸びていないので抜けなくなる可能性がある。

4)逆スライドタイプ

奥から手前方向に解除用の突起が移動するタイプ。これもかなり強力。

GYAKU-AMAE.jpgGYAKU-ATO.jpg

5)突起部の周囲全体が持ち上がる

10G-LR.jpg

標準仕様

INF-8074 Specification for SFP (Small Formfactor Pluggable) Transceiver

A1. SFP Transceiver Package Dimensions

"notes: 3.Design of actuation method and shape is optional."の記載あり。つまりロック解除機構については様々な方式を許容している。

Table 1. Dimension Table for Drawing of SFP Transceiver

Designator Dimension Tolerance Comments
Z 0.45 ±0.05 Height of latch boss
AC 45° ±3° Entry angle of actuator
AE 6.3 reference Width of cavity that contains the actuator
AF 2.6 ±0.05 Width of latch boss (design optional)

Table 4. Dimension Table for Drawing of SFP Cage Assembly

Designator Dimension Tolerance Comments
AQ 5.1 maximum Width of latch
AR 3.0 ±0.05 Width of latch opening

SFF-8432 Specification for SFP+ Module and Cage

4.1 Module Retention and Extraction

  • TECHNIQUE #1: 解除部品をスライドする、スライドする部分が凹形状であるとは記載されていない
  • TECHNIQUE #2 : 突起部を埋没する(RETENTION POST RECESSED in module)
  • TECHNIQUE #3 : 突起部の前に解除バーを持ち上げる
  • TECHNIQUE #4 : 突起部の周囲を持ち上げる

Table 4-3 Dimension Table for IPF Module

esignator Dimension Tolerance Comments
AE 2.65 N/A Width of retention post, see Note 3
AL 0.65 +0.10/-0.25 Retention post height
AX 2.95 ±0.25 Technique #1 ramp distance during extraction
AY 5.10 Maximum Technique #1 ramp width

3. Dimensions define a maximum envelope for module post. The post may have a different shape as long as the post cross-section does not exceed the maximum envelope.

SFPとSFP+/SFP28は互換性がありますが仕様上の数値は細かい差がある。SFP(INF-8074)には先端部前半の幅が少し狭くなる記述があるがSFP+(SFF-8432)には無い。また、先端部の縦方向の傾斜はSFP+にはあるがSFPには無い。

実測との差

  INF-8074 SFF-8432 sample A sample B sample C
三角状突起物の幅 2.6±0.05 2.65 1.82 2.34 2.42
三角状突起物の高さ 0.45±0.05 0.65 0.42 0.44 0.43
スライド部の幅 6.3 5.10 5.15 5.45 5.65
ケース幅 13.4±0.1 13.55±0.25 13.40 13.37 13.42
ケース厚み(REAR) 8.6±0.1 8.55±0.15 8.50 8.68 8.61

KEISOKU.jpg

挿入しやすさに関連する要素

  1. バネ部分(EMI springs)の強度
  2. 幅のスロープ
  3. 先端の傾斜
  4. 上限分割構造のゆるみによる厚さの差

 

抜けなくなった時に試す事

まず、外部からケージの爪が視認できる事を確認する。そして、その爪を細いマイナスドライバーで押し上げながら抜く。

sfp-driver.jpg

ドライバーは細くで薄いものが必要です。上記写真で使用しているのは。先の幅が2.5mmの「ベッセル(VESSEL) マイクロ ドライバー 精密 ネジ用 -2.5×75 9900」

 

Links

操作するレバーを付けるスペースが無いトランシーバーを抜くツール

https://www.embrionix.com/product/emEXTRACTOR


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