光ファイバーによってデータ伝送を行う装置にはレーザーが使われています。通常の光と異なり特定の波長に鋭角化した特性を持ち出力も強力です。これを、直接目にあててしまうと網膜に悪影響を及ぼし視力障害を引き起こします。

特にシングルモードファイバーに使用される1310/1550nmの波長は人間が色として感じる範囲よりも長い波長であり目にレーザーが当たっていても気が付かないのです。しかしエネルギーはありますので網膜の特定個所を熱により破壊します。マルチモードの中心波長850nmも人間の可視光の外ですが赤と認識できる限界の800nm程度まで幅があるために赤として認識できます。

くれぐれも、機器に光トランシーバーを装備しファイバーを接続しない時は防護キャップを必ず装着してください。これは機器を守るためだけではなく人身事故を防ぐためです。

また、ファイバーのチェックなどに使う可視光は650nm前後の赤く分かりやすい波長ですがこれも網膜に直接当てるのは危険です。手のひらなど何かにかざして間接的に光を確認する習慣を身に付けましょう。

波長による障害の違い

レーザーによる障害につて、波長によって障害内容がことなることを勉強しました。眼球の表面と言うか角膜と呼ばれる部分は1400nmより長い波長を吸収するとのことです。ですので、通信に使用するC band(1550nm前後)は網膜ではなく角膜の炎症が起こります。

同じ出力であればマルチモードで使われる850nmの方が影響が大きいようです。どうしても遠距離仕様の方が出力が大きくて危険と感じてしまうのとは逆ですね。

現在のシングルモードで中心のO band(1310nm)は1400nmよりは短いですがやはり角膜にも吸収され、かつ一部は網膜にも到達すると思われ両方の障害を引き起こす可能性があります。

波長   障害部位
180-315nm   角膜
315-400nm 紫外線域 水晶体
400-780nm 可視光域 網膜
780-1400nm 近赤外線域 水晶体及び網膜
1400-3000nm   角膜、前房

 

安全基準

JIS C6802 「レーザ製品の安全基準」

波長とクラス分けの値についてはIEC 60825。wikiに整理されたグラフがある

  連続出力(CW) max 波長  
class 1
0.39mW以下(-4dBm)
400-700nm
 
 
安全
1mW(0dBm)
850nm
15mW(12dBm)
1310nm
10mW(10dBm)
1550nm
class 1M 8.77mW(9.43dBm) 840nm 拡散しているので集光しなければ安全
class 2 1mW以下 400-700nm 凝視しなければ安全
class 3R

class 1の5倍 7dBm

850nm 長時間危険
class 1の5倍19dBm 1310nm
class 3B 0.5W以下(27dBm)   直接は危険
class 4 それ以上   間接も危険、火災の危険もあり

class 2は視認できる波長範囲なので、危険性をすぐに認識し回避行動をとるため規制値が別に設定されているのが面白い。

Class 1M

MはmagnifyingのM。拡大鏡などで集光すれば危険なレベル。class 1よりよりも強くclass 3B以下。

拡散度と波長により規定値が異なる、上記数値は50ミクロンコアでの計算値。

  距離 受光径
肉眼条件3 10cm 7mm
双眼鏡条件1 2m 5cm
ルーペ条件2 14mm 7mm

ルーペ条件でclass 1と同等の影響度を肉眼条件で与える出力を計算した。面積比で約7倍。

仕様別最大出力

  per lane total wave length class1 limit  
10G SR -1.0dBm -1.0(0.8mW) 850nm 1mW 1
10G LR 0.5dBm 0.5(1.1mW) 1310nm 15mW 1
10G ER 3.0dBm 3.0(2.0mW) 1550nm 10mW 1
10G ZR     1550nm 10mW  
25G SR 2.4dBm 2.4(1.7mW) 850nm 1mW 3R
25G LR 3.0dBm 3.0(2.0mW) 1310nm 15mW 1
25G ER 8.0dBm 8.0(6.3mW) 1310nm 15mW 1
40G SR4 2.4dBm 2.4(1.7mW) 850nm 1mW 3R
40G LR4 2.3dBm 8.3(6.8mw) 1310nm 15mW 1
100G SR4 2.4dBm 2.4(1.7mW) 850nm 1mW 3R
100G LR4 4.5dBm 10.5(11mW) 1310nm 15mW 1
100G SWDM4 NA 1M以下 900nm 1mW 1M

Finisarの100G SWDM4(FTLC9152RGPL)は-3.0dBm/lane

連続出力と変調出力

continuous-wave (CW)に対しNRZの変調出力はエネルギーが少ない、そのためおおよそ半分の3dBを減算して評価される?

単一パルスとみなす時間幅

波長λ(nm) Ti(s)
400 <λ<1050 18×10-6
1050<λ<1400 50×10-6
1400<λ<1500 10-3
1500<λ<1800 10
1800<λ<2600 10-3
2600<λ<106 10-7

10Gbps NRZ変調のパルス幅は10のマイナス10乗なので単一パルスとみなされる。

IEEE 802.3cmでの資料

850nmでの限界値は

class 1 =  2.470 mW / 3.93dBm

class 1M = 7.518 mW / 8.76 dBm

インターロック

"fail safe safety interlock"機能がある組み込み型はclass 1になる。?

「囲い等を設けて人体への露出光がAEL以下に制限できれば、レーザー単体の出力に依らずクラス1製品に分類される。」

(レーザー光の眼に対する安全基準 猿渡正俊 2004)より抜粋。

II クラス3Rのレーザー機器に係る措置(安全衛生情報センター資料抜粋)

  1. レーザー機器
    (1) レーザー光路に対する措置
    イ レーザー光路は、作業者の眼の高さを避けて設置すること。
    ロ 400nm~700nmの波長域外のレーザー光線を放出するレーザー機器については、レーザー光路は、可能な限り短く、折れ曲がる数を最小にし、歩行路その他の通路と交差しないようにするとともに、可能な限り遮へいすること
    ハ 400nm~700nmの波長域外のレーザー光線を放出するレーザー機器については、レーザー光路の末端は、適切な反射率と耐熱性を持つ拡散反射体又は吸収体とすること。
    (2) 警報装置
    400nm~700nmの波長域外のレーザー光線を放出するレーザー機器については、レーザー光線を放出中であること又は放出可能な状態であることが容易に確認できる自動表示灯等の警報装置を設けること。
    (3) レーザー光線の放出口には、その旨の表示を行うこと。
  2. 作業管理・健康管理等
    (1) 光学系調整時の措置
    レーザー光線により光学系の調整を行う場合は、調整に必要な最小の出力のレーザー光線により行うこと。
    (2) 保護具等の使用
    400nm~700nmの波長域外のレーザー光線を放出するレーザー機器を取り扱う業務又は当該レーザー光線にさらされるおそれのある業務を行う場合には、レーザー光線の種類に応じた有効な保護眼鏡(注)を作業者に着用させること。ただし、眼に障害を及ぼさないための措置が講じられている場合はこの限りでない。
    注)レーザー用保護眼鏡(メガネ形式とゴーグル形式がある。)を用いること。
    (3) 点検、整備
    イ 作業開始前に、次に定めるところにより、レーザー光路、インターロック機能等レーザー機器及び保護具の点検を行うこと。
     [1] レーザー機器管理者を選任している場合は、レーザー機器管理者が自ら行い、又はレーザー業務従事者に行わせること。
     [2] レーザー機器管理者を選任していない場合は、レーザー業務従事者が自ら行うこと。
    ロ 一定期間以内ごとに、レーザー機器について専門的知識を有する者に次の項目を中心にレーザー機器を点検させ、必要な整備を行わせること。
    [1] レーザー光線の出力、モード、ビーム径、広がり角、発振波長等の異常の有無
    [2] 入力電力、励起電圧・電流、絶縁、接地等の異常の有無
    [3] 安全装置、自動表示灯、シャッター、インターロック機能等の作動状態の異常の有無
    [4] パワーメーター、パワーモニター等の異常の有無
    [5] ファン、シャッターその他の可動部分の異常の有無
    (4) 安全衛生教育
    レーザー業務に従事する労働者を雇い入れ、若しくは労働者の作業内容を変更して当該業務につかせ、又は使用するレーザー機器を変更したときは、労働安全衛生法第59条第1項又は第2項に基づく教育を行うこと。この場合、特に次の事項が含まれるよう留意すること。
    [1] レーザー光線の性質、危険性及び有害性
    [2] レーザー機器の原理及び構造
    [3] レーザー機器の取扱い方法
    [4] 安全装置及び保護具の性能並びにこれらの取扱い方法
    [5] 緊急時の措置及び退避
    (5) 健康管理
    レーザー業務従事者(400nm~700nmの波長域外のレーザー光線を放出するレーザー機器を取り扱う業務又は当該レーザー光線にさらされるおそれのある業務に常時従事する労働者に限る。)については、雇い入れ又は配置替えの際に視力検査に併せて前眼部(角膜、水晶体)検査を行うこと。
  3. その他
    (1) レーザー機器等の見やすい箇所に次の事項を掲示すること。
    イ レーザー機器管理者を選任した場合には、その者の氏名
    ロ レーザー光線の危険性、有害性及びレーザー機器取扱い上注意すべき事項
    (2) レーザー機器の高電圧部分には、その旨を表示するとともに、当該部分に接触することによる感電の危険を防止するための措置を講じること。
    (3) レーザー光線による障害の疑いのある者については、速やかに医師による診察又は処置を受けさせること。

用語

AEL(Accessible Emission Limit)被ばく放出限界

MPE(Maximum Permissible Exposure) 最大許容露光量

Link

http://www.jsir.org/wp/wp-content/uploads/2014/10/2004.4VOL13.NO_.2_14.pdf

1M calc 850nm 50 fibar

http://www.ieee802.org/3/av/public/2006_11/3av_0611_kolesar_1.pdf

http://grouper.ieee.org/groups//802/3/cm/public/May18/castro_3cm_02_0518.pdf

http://www.ieee802.org/3/cm/public/November18/castro_3cm_03_1118.pdf


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